
○イソトレチノイン内服療法(アクネトール)
イソトレチノイン(アクネトール)は13-シスレチノイン酸というビタミンA誘導体の内服薬です。
イソトレチノインは治療効果が非常に高く、6ヶ月間〜8ヶ月間内服することでニキビを大きく改善します。
また、ニキビ症状が落ち着いた後もニキビの再発抑制効果がある飲み薬です。
(*再発を抑制する場合は長めに内服する必要があります。)
イソトレチノインの内服治療は有効性が高く、90%以上の方に改善がみられます。
副作用もある薬のため、中等症から重症のニキビの場合にイソトレチノイン内服での治療を検討します。
主な効果
① 皮脂分泌量の減少:皮脂腺細胞のアポトーシスを誘導して皮脂腺を小さくし、皮脂の分泌量を減らします。
② 毛穴の角化異常の正常化・毛穴つまりの改善
③ 抗炎症作用
〇使用方法
症状と体重に合わせて内服量を決定します

〇イソトレチノイン内服療法の治療期間
イソトレチノイン内服の効果が現れるまでには数週間から数ヵ月かかることがあります。
当院では、通常5か月間の治療期間とし、ざ瘡が残っている場合1か月追加内服としています。
〇イソトレチノイン内服療法の累積投与量
累積投与量が120mg/kg以上の場合に再発率が30%に抑えられるというデータがあります。
重症のざ瘡の場合は、こちらも考慮しつつ投与期間を決定していきます。
体重60kg 0.5mg/kg(1日内服量30mg)で服用を開始
→累積投与量が120mg/kgに達するまでに約8ヵ月ほどかかる。
〇イソトレチノイン内服療法の注意点
食事(脂質の高いもの)と一緒にとることで吸収率が上がるため、食後に内服してください。
(食事をとれない場合は牛乳・バターやオイルと一緒に飲むといった方法もあります)
〇イソトレチノイン内服療法の併用禁忌注意薬剤・疾患
テトラサイクリン系抗生剤、ビタミンA製剤、メトトレキサートとの併用、妊娠中・授乳中の内服は禁忌。
潰瘍性大腸炎、家族性炎症性腸疾患(IBD)、肝障害、膵炎、うつの既往のある方へのイソトレチノイン内服は注意が必要です。
また15歳未満の方へのイソトレチノイン内服治療は行っておりません。(18歳未満の方は保護者の同意も必要です)
〇イソトレチノイン内服療法の副作用
・催奇形性
内服中および内服中止後1~2か月は避妊が必要となります。(内服中止後1か月以内には体内から排泄されます)
また、内服中止後1か月間は献血できません。
・中性脂肪
イソトレチノインは親油性があるため、内服により中性脂肪(TG)が急上昇することがあります。
内服前と定期的な採血はとても重要です。
・精神症状:うつなど
・口唇炎
・皮膚・粘膜の乾燥
・脱毛
・爪がもろくなる
【イソトレチノイン内服治療ができない方】
□ 妊娠中の方、妊娠の可能性がある方、妊娠を希望されている方、授乳中の方
イソトレチノインの重大な副作用の一つに、妊娠している女性に投与すると流産や胎児の奇形を引き起こすという副作用があります。
内服中および内服中止後1~2か月は避妊が必要となります。(内服中止後1か月以内には体内から排泄されます)
□ 内服中と内服中止後1か月は献血できません。
□ 15歳未満の方や成長期で身長が伸びている方
骨端線の閉鎖により身長が伸びにくくなる可能性があります。
当院では15歳未満の患者においては原則お勧めしていません(海外ガイドラインでは12歳以上は投薬可)。
□ イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤、ビタミンAでアレルギーを起こしたことのある方
□ テトラサイクリン系の抗生物質を内服されている方
頭蓋内圧上昇による頭痛を引き起こす可能性があります。
□ うつ病その他の精神疾患で治療中の方
□ 肝・腎機能障害のある方・中性脂肪、コレステロールの高い方
イソトレチノイン内服開始前、内服開始1か月後に必ず採血を行います。
その後は適宜(増量開始1か月後など)採血を行っていただきます。(自費:3,300円)
□ ビタミンA過剰症の方
